おじいさんの古時計は
実は大きな日時計だった
台風シーズンで謎の鉄柱と化した針の下
観測史上最大級の21ゴウに
おじいさんが飛ばされた!
気象学の常識に従って右回転の渦に乗り
飛翔しながら毎時60キロで北上する
スパイラルじじい!
お前の隣を巨大な針も飛び立つ
気圧の変化で耳鳴りが時を刻む
軽いじじいはより早く螺旋を描き
巨大な針はゆっくりとマワル
まさに短針・長針の動き
ロンドを踊るじじいと針は やがて風の波を昇り詰め
台風の目となり、陽の当たる平野を映した
ああ、各家庭の中庭で 日時計が時を刻んでいる
空高く舞い上がったじじいはやがて落ち始め
天寿はまっとうされました
突き立った 大きな鉄の木の下で
スパイラルじじいは安らかに眠る
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